性能も大幅アップ(1)

設計者です。

今回の「リノベーション」では、しっかりと見えない部分まで新しいものに作り直しています。「フルリノベ」と言うように、内装部分は解体・撤去し、配線、配管はもちろん、下地までまるっと最新の素材で作り直しています。2003年7月にシックハウス対策のための規制が導入された改正建築基準法が施行されましたが、竣工当時はまだ下地合板に人体に悪影響を及ぼす接着剤が使われている可能性が大きいので、合板も含め新しくしています。

▼解体中の様子です。


今回は見えない部分について、既存よりも大幅に性能がアップした部分を紹介したいと思います。

まず、このマンションでは使用細則により階下への騒音問題が発生しないようフローリングを一階以外は禁止されており、遮音性能LL55同等以上の性能が求められています。(リノベした2016年当時)現在のオーナーさんのお子様は複数人、かつ乳幼児でしたので、走り回ることで近隣迷惑にならないかを心配されていました。さらにキッチンをリノベにて移動することは設計上必要と考えていたこともあり、配管経路的にも床を上げる必要がありました。これら2つの希望を満たすため、今はほとんどのマンションで採用されている二重床(上げ床)工法を採用したのです。既存はコンクリート床に直接カーペット等が直張りだったのですが、コンクリートの上に隙間を作って木で床を組み、その上に畳やカーペットで仕上げました。二重床にすることで遮音性能が上がり、さらに床下空間に電気や給水などの配線ができるようになりました。欠点としては、床が少し高くなり玄関と室内の段差が増えたり、天井が低くなりますが、圧倒的に享受できるメリットの方が多いです。(ただし、天井もやり替えており、既存よりも高い所が多い)

▼二重床を施工中です。

以上のように見えない部分にもお金をかけ、しっかりとした仕様としているので安心して今後も生活していただけますし、更なるリフォームの際もやりやすくなっています。同マンションの既存配管はそろそろ耐用年数が来るのもあるかと思いますが、この物件は全てが新品なので、ご心配は不要です。

「リフォーム」と「リノベーション」の言葉の違いを聞かれることがあるのですが、まさにこういった部分がその違いです。ほとんどの部分を解体・撤去し、見えない配線・配管・下地部分までやり直しているのが「リノベーション」、間取りや配線・配管はほぼそのままで表面のクロスやキッチン、お風呂などの機器だけを変えるのが「リフォーム」です。

ちなみに、この「フォルム綱島クレスタワーズ」で当時これだけの費用をかけてフルリノベーションをしたの、この部屋が初めてだったようです。

ー豊かな自然環境と都市の利便性が両立できる生活拠点ー

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