性能も大幅アップ(2)

設計者です。

今回は、見える部分で竣工時よりも大幅に性能がアップした部分を紹介したいと思います。

現在は持続可能な社会を実現するために限りあるエネルギーを大切に使うことが必要です。こうした社会的要請より、住宅等の居住施設の高気密高断熱が法律的に義務化されつつあります。壁の断熱性は断熱材厚を増せばよかったのですが、窓の断熱・気密性の向上は難しい状況でした。しかし昨今の技術で現在では「樹脂サッシ」や「トリプルガラス」などが開発されゆっくりと日常に浸透してきました。鍵をしっかりと閉めることで気密性も確保され、以前よりは比べ物にならないぐらいにガラス部の断熱性が強化され、結露しにくくなっています。

建売住宅等でもアルミと樹脂のハイブリットサッシ、Low-Eのペアガラスという仕様は当たり前という時代になっています。

 しかし、既存のアルミサッシの交換は莫大な費用がかかります。サッシ交換には外壁を壊さないとできないからです。カバー工法という昔のサッシ枠にカバーをしてもう一度新しいサッシをつける工法もありますが、ガラスの面積が減りますし、かなり高価であるというのが現状です。特にマンションでは外観を構成するアルミサッシは共用部でもあり、個人の意志で交換できるものではありません。さらに大規模修繕でやるには高価すぎるので、昔の高級マンションであっても、昔のシングルガラス、アルミサッシのままというところばかりです。

そこで、この部屋では10年ほど前より多く使われている「二重サッシ」を採用しました。設置箇所は断熱性がより求められる個室部分の窓全てを「二重サッシ」としました。既存サッシの内側にもう一つサッシを取り付けるのですが、壁厚が厚いコンクリート外壁のマンションでは採用が可能なことが多いです。さらに、採用した二重サッシは「樹脂フレーム」、「Low-Eのペアガラス」としており、既存より何倍も断熱性、気密性が確保することができました。

(なお、Low-Eガラスというのはガラス表面にコーティングされているものが使われており、室内側にそれがあれば高断熱、室外側であれば高遮熱となります。今回は全て高断熱仕様です)

快適性はかなり向上し、冷暖房費用が大幅に削減されました。見た目も重要ですが、リノベーションではこうした性能アップもしっかりと行っています。

ー豊かな自然環境と都市の利便性が両立できる生活拠点ー

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