性能も大幅アップ(3)

 設計者です。 

 今回は照明器具についてご説明します。リノベにて照明器具は全て新しく交換しました。もちろん全てLEDとなっています。現在ではLEDの照明しか売っていないというぐらいにカタログの9割以上がLEDになってきましたが、当時はまだカタログの7割程度だった記憶があります。(もはやうろ覚えです・・・)。 

 さて、この部屋の照明は中島龍興照明デザイン研究所福多佳子さん照明計画をしてもらっています。照明設計に関するプロフェッショナルでして、住宅から公共施設、橋などまで様々な夜の景色を設計されている方です。一般的には照明の配置は器具メーカーさんに設計者からお願いし、無料で配灯計画をしてもらうことが多いのが現状です。つまり、あまり重視されておらず、無料でやってもらうものと考えている設計者も少なくありません。(多分ですが、照明設計者に照明計画をお願いしている設計者は1割もいないと思います) しかし、住戸では夜に過ごす時間の方が長いので、夜の環境づくりに照明はとても重要な役割を担っていると私は思っており、毎回こうして照明設計者のプロフェッショナルな力をお借りしています。メーカーさんに配灯をお願いすると、当然ですがそのメーカーの商品のみで住戸内が満たされてしまいますが、今回は複数のメーカーさんの良いものを選りすぐって選定してもらっています。もちろん照明設計者はオーナーさんの好みや予算にも合わせてくれ、今回はLDK部分を中心に配灯計画を提案してもらいました。 

 拘ったのは、LDKのテーブル配置など様々なレイアウトができるようにスッキリしたダウンライトをLDK部分には採用し、「調色調光」の器具にしました。「調色調光」とは、照明の色(色温度と言います)を青っぽい白から黄色っぽい白までを変更することができ、かつ、明るさも変更することができます。勉強などのときは明るくて白っぽい光、夜の落ち着いた時、映画を見るときなどは暗く黄色い光など気分により室内の雰囲気を変えることができます。昔は電気は点けるか消すかの二択だったのですが、今は色も明るさも自在に変えられ、時間や気持ちによって室内環境を変えることができるのです。最近ではスマホで変えれるものも出てきましたが、当時はまだ出始めでしたが、照明設計者からの提案が採用されました。 

  高度成長期は「明るいことが豊かである」というイメージで明るい蛍光灯が普及し、コンビニなどの「超明るい空間」ができました。それが東日本大震災を経験し、また暗い豊かさが見直されています。実際、ある程度の明るさになると、もっと明るくてもその差異はほとんど知覚されないのですが、暗さの微妙な違いは知覚できますです。また古来日本人は「陰翳礼讃(いんえいらいさん)」といって、暗さを楽しむことができる感覚を持っていたのです。

 隅々まで明るい空間に家族がバラバラにいるよりも、中心が明るくて皆が自然と集まってくる方が豊かなのかもしれませんね。

ー豊かな自然環境と都市の利便性が両立できる生活拠点ー

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